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アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第三話 あらすじと感想

前回、エリカ様のストーリーが始まりそうなどと書いたが、予想が外れて新キャラのルクリア・モールバラ(ルクリアが花の名前)の話だった。

ルクリアはヴァイオレットが通う自動手記人形の訓練学校の同級生。ライデン育ちである。学校の生徒は様々な地域からの出身者が多いらしい。ライデンは都会で、この学校はブランドなので、ここを卒業して故郷に戻れば就職に有利ということらしい。そんな中でライデン育ちの生徒は珍しいようだ。

ヴァイオレットはタイピングの技能や座学では優秀な成績を修めるが、実際に手紙を書く実習(生徒同士でペアを組んで模擬代筆を行う)では人情を理解できず、先生から「これは手紙ではない」と酷評されてしまう。結果、ヴァイオレットは課程を終えても卒業できなかった。

その後、ルクリアと彼女の兄を軸にストーリーが展開するが詳細は割愛する。

今回の話はヴァイオレットと少佐をめぐる主軸のストーリーに進展はなかった。おそらく、今後はこういう風にヴァイオレットと関わる人々の視点から様々な物語が描かれ、少しずつヴァイオレットと少佐の物語が進展していくのだろう。

1978年の『ゾンビ (Dawn of the Dead)』以来フィクションの人気ジャンルに君臨するゾンビ物の面白さは、ゾンビという人間性を喪った存在を通して描かれる、生き残った人々の人間ドラマにある。同じように、本作では人情を知らないヴァイオレットに反射される周辺の人々の人情ドラマが描かれることになるのだろう。今回はアテが外れたが、いずれエリカ様やアイリス、カトレア、ベネディクト、そしてホッジンズのストーリーが展開されることになるはずだ。ルクリアも良いキャラだったので、今回だけのスポットで終わらず今後も再登場してほしいと思う。

作画の面では1話と2話で見られた特徴的な陰影の色彩(ホッジンズの髪の影の部分を明るいグレーにするような)がなくなっていた。1話と2話には特別に予算とスケジュールが配分されて気合の入った作画になっていたようだ。

それから、今話からOPとEPが入って通常のアニメの構成になった。OPの主題歌はTRUEで『Sincerely』、EPは茅原実里で『みちしるべ』。どちらも素晴らしい曲と歌唱だが、とくに『みちしるべ』が良い。ピアノの伴奏が最小限に抑えられていて無伴奏独唱のようになっており、茅原実里の子供のような声で表現される無垢さと、無伴奏独唱の持つ力強さがあわさって、なんとも切なく心に迫ってくる。茅原実里はエリカ様の声を演じているが歌詞の内容はヴァイオレットの心情のようでもある。今後、歌詞の意味がはっきりと理解できるようになるのだろうか。