ふるたち

ふるたちです。

ストロング料理

この動画を見てみて欲しい。

www.youtube.com 50分以上ある動画なので飛ばし飛ばしで構わない。かいつまむと、コアラ姿のvtuber「でびでび・でびる」がストロングゼロを使った料理を作り、それを食レポするという内容だ。僕はこの動画を見て大笑いした。「ストロング・サーモン」「ストロング玉ねぎ」と言ったワードが面白く、それらを食べて旨い旨いと言うでびでび・でびる氏のクレイジーさに笑いが止まらなかった。

どう考えても、ストロング漬け(お茶漬けのお湯やお茶の代わりにストロングゼロをかける)やストロング玉ねぎ(スライスした玉ねぎをストロングゼロに浸す)が美味しいとは、とても思えなかった。だが、この動画を見終わった後で、ストロング料理に心を動かされてしまっている自分がいることに気付いてしまった。

その理由は二つある。ひとつは、でびでび・でびる氏の食レポがとても上手で独特の表現力を駆使してゲテモノとしか思えないストロング料理の旨さを伝えてくれたこと。もう一つは、パリッコさんというライターが提唱する「酒蒸し法」に僕自身が最近ハマっていたことだ。

dailyportalz.jpこの記事に影響を受けて、いろんな食材を酒蒸しにして食べるのが最近の趣味になっている。肉でも魚でも野菜でも、純米酒で酒蒸しにすればたいてい美味しくなる。冒頭の動画を見て阿呆なことやってるなと一頻り笑った後で、他のものはともかくとして、ストロング・サーモン(鮭の切り身をストロングゼロで酒蒸しにしたもの)は、もしかしたら本当に旨いのかもしれないと思ってしまったのである。

パリッコさんは研究熱心な方で、すでにストロングゼロの酒蒸しも試している。その結論は、残念ながら美味しくないということだった。

dailyportalz.jpしかし、パリッコさんが使ったのは鶏肉だ。鮭では話が違うかもしれない。でびでび・でびる氏によればストロング・サーモンは表面が甘く(たぶんストロングゼロの甘味料のため)、中の方は深い味わいがして一度に食べると「マリアージュ」を感じるという。これは試してみなければならない。

というわけで、さっそく冒頭の動画の料理を再現してみることにした。何事も他人の意見を鵜呑みにせず自分で試してみることが肝心だ。

作るべき料理は次の4つ。

早速スーパーに行って次のものを買ってきた。

茶漬けはサトウのご飯で作ろうと思ったのだが、角煮を作るのに本格的なレシピを参照したところ米の研ぎ汁が必要だと書いてあったため、ストックしていた米(つや姫)を1合分炊くこととなった。

www.sirogohan.comさて、料理の過程をひとつずつ説明しよう。まず、ストロング角煮は上記のサイトを参考にして下茹でし、最後の煮込みのところで「水と酒」の代わりに同分量のストロングゼロを入れて煮込んだ。ただし、豚肉全部をストロング角煮にする勇気はなかったので二切れだけをストロング角煮にし、残りは普通に日本酒でレシピ通りに作った。

ストロング・サーモンは鮭の切り身に塩をふってからフライパンに載せてストロングゼロをふりかけて酒蒸しにした。

ストロング玉ねぎはスライスした玉ねぎを、通常は水に晒すところを、ストロングゼロに晒した。

ストロング漬けは、炊き上がったご飯に梅干し茶漬けの素とストロングゼロを振りかけた。

さて、そのお味は如何かと言えば。

ストロング角煮は普通に旨い。通常のレシピで作ったものと食べ比べてみたのだが、ストロング角煮の方が若干味が薄かった。ただ、これは僕が醤油や砂糖の分量を間違えただけかもしれない。味が薄いとは言え好みの範疇であり、どちらが明確に旨いというものでもなかったし、逆に言えばストロングゼロを使った意味もとくになかった。煮込んだ段階でレモンの風味もアルコールも飛ぶし、砂糖で甘くしてしまうので人工甘味料の甘さも紛れてしまったようだ。

次は、ストロング・サーモン。一番期待していたのだが、残念ながらあまり美味しくなかった。別に不味いという訳ではなく普通に食べられるのだが、純米酒での酒蒸しに比べるとパサついてイマイチだった。パリッコさんの鶏肉の実験でも同様の結果が報告されている。どうも、酒蒸しでしっとりと仕上げるのには米の酒が向いているようだ。でびでび・でびる氏の言う「表面と中身のマリアージュ」も感じられなかった。調理法や分量が違ったのかもしれない。ちなみに、でびでび・でびる氏は皮が美味しくないと言っていたが、僕の作ったストロング・サーモンは皮も普通に食べられた(魚の皮は好き嫌いが分かれるので客観的な評価は難しいのだが)。

さて、お次はストロング玉ねぎだ。一番期待していなかったのだが、結果的に一番美味しかった。これは美味しい。玉ねぎの辛味とレモンの風味と甘味料の甘さ、それに加えてアルコール感が混じり合うと、今まで食べたことのない不思議な食感を味わうことができる。アルコールと生の玉ねぎが大丈夫な人でないと食べられないと思うが、好きな人にはハマると思う。今回の中で、唯一もう一度作ってみようと思えたレシピだった。

ストロング玉ねぎが成功だったので他の野菜でも試してみた。ピーマン、人参、キャベツを千切りにしてストロングゼロに浸けてみた。結果、一番美味しかったのは人参だった。人参と玉ねぎはストロングゼロで浅漬けにすると美味しい。ピーマンは不味くはないが美味しくもならない。一番ダメなのはキャベツだった。キャベツの風味とアルコール感は良い取り合わせではなかった。

さて、最後のストロング漬けだが、これは一番の失敗だった。炊きたての温かいご飯を使ったのがまずかったのかもしれない。アルコールと甘味料のせいか得も言われぬエグ味にむせかえって食べられたものではなかった。食べ物を無駄にはできぬと、しばらく放置して冷ました後でなんとか完食したが、もう食べたいとは思わなかった。でびでび・でびる氏は「不思議な感覚がする」と喜んで食べていたが、よほどアルコール耐性のある酒呑みでなければこの境地には達することはできないと思われる。僕も人並みよりは酒好きな方ではあるが、これは食べられなかった。

というわけで、個人的な感想として、アリと思えたのはストロング玉ねぎとストロング人参だった。食卓の中でアルコールを感じられる副菜という、奈良漬けに匹敵する新戦力になりうると思われた。ストロング角煮とストロング・サーモンに関しては、別に不味くはないのだが、通常のレシピや酒蒸しに比べて利点があるようには感じられなかった。ストロング漬けは、繰り返すが個人的感想として、ナシだった。

一番期待していたストロング・サーモンが美味しくなかったことは残念だった。でびでび・でびる氏の言う「マリアージュ」も感じられなかったので、調理法を工夫する必要があるのかもしれない。今回は鮭をふっくらと仕上げるため酒蒸しを短時間で止めてしまったが、もしかしたら甘味料が表面にまとわりつくように煮詰めた方がよかったのかもしれない。今後の課題としたいところだが、僕はもう二度とやるつもりもない。誰かストロング・サーモンの「マリアージュ」を再現できた人がいたらレシピを教えて欲しい。

現場からは以上です。