ふるたち

ふるたちです。

ふるたちの手抜き料理(2) 「マキシマムたまご」

中村食肉の「マキシマム」で味つけしたスクランブルエッグ。

 

材料:

  • 鶏卵 好きなだけ
  • バター (なければ炒め油)
  • マキシマム 好きなだけ

作り方:

溶き卵にマキシマムを振ってスクランブルエッグを作るだけ。

 

マキシマムはステーキ用のミックススパイス。クレイジーソルトみたいなものだが醤油やかつお出汁も入っていて、より日本人好みの味になっている。肉だけでなく魚や卵にも合うので、いろんな料理に使える。ただし、クレイジーソルトと同じで何でも同じ味にしてしまうのと、入れすぎると味がくどくなる点に注意が必要。卵料理の味に変化をつけたいときに。

ふるたちの手抜き料理 (1) 「やさいたん」

やさいたんとは「野菜タンメンの野菜増し麺抜き」のこと。

炭水化物を取らずに野菜を多く食べたいときの一品。蛋白質、脂質、塩分などは気にしない(好きなだけ摂る)。

創味シャンタンさえあればコンビニでカット野菜を買えば作れる。包丁不要。鍋一個で作れる。

味は説明しなくても想像できると思う。スープまで飲み干せば、それなりに腹が膨れる(ただし野菜と水なので、腹持ちはしない)。

 

材料

  • カット野菜(キャベツ、人参、玉ねぎなど)一袋。
  • もやし一袋。
  • 創味シャンタン(なければ中華スープの素、鍋の素、鶏ガラスープの素、出汁と味噌などなんでも)
  • (オプション)鶏卵一個
  • (オプション)冷蔵庫に残っている野菜(きのことか、なんでもお好みで)
  • (オプション)調味料、香味油、香辛料(なんでもお好みで)

必要な器具

  • 鍋一個
  • コンロ一口
  • 野菜をつかむ何か(菜箸、トングなど)(鍋からそのまま食べるなら不要)
  • (オプション)溶き卵を作るときは、もう一つ鍋(またはボウル)。

作り方(一人前、これだけで一食分くらいになる)

  • 鍋に水400mlと創味シャンタン適量(チューブタイプの場合は約13cm、8グラムとのこと)を入れて沸騰させる。創味シャンタン以外のスープの素を使う場合は、その製品の目安に従う(要するにスープを400ml作る)。
  • カット野菜ともやしを入れる。
  • 他に入れたいものがあれば入れればいいじゃない。
  • 鍋に野菜を入れるとスープが少ないように思うが気にしない。野菜に火が入れば水が出てくる。
  • 好きなように味付けする(創味シャンタンだけでも旨い)。
  • 野菜に火が通ればできあがり(煮過ぎない。野菜のシャキシャキ感が残っているうちに火を止める)。

溶き卵スープにする(オプション)

  • 卵を入れると満足感が増す。栄養的にも多分良い。
  • 溶き卵スープを下記の手順で作ると綺麗に作れる(ただし、洗い物が増える)。
  1. 野菜だけを器に移す。
  2. スープが残った鍋を強火にかけて沸騰させる。
  3. 別の鍋(またはボウル)に卵を割り入れ、軽くかき混ぜる。
  4. 卵の入った鍋に沸騰したスープを注ぎ入れる。
  5. 出来上がったとき卵スープを野菜にかける。

スープに卵を入れるのではなく、とき卵にスープを注ぐのがコツ。この方法は、盛岡でじゃじゃ麺を食べた時に最後に出てくる鶏蛋湯(ちーたんたん)の作り方を見て学んだもの。

面倒くさいなら、スープに卵を割り落とすチキンラーメン方式でも別に問題ない。

 

Ghost of Tsushima プレイ日記(その壱)

小茂田の海岸には数えきれぬほどの蒙古の軍船が押し寄せていた。丘の上から対峙する対馬の侍は僅か八十。

「俺は、ここで死ぬるのか」

海岸を見下ろしながら、境井仁は思った。死ぬのが怖いのではない。冷静に彼我の戦力を見定めた結果、己が生き残る可能性が無いことに気づき、それが不意に言葉となったのだ。武士として己を厳しく律してきた境井にとって惜しむべきは命ではない。誉れこそ惜しむべきものだ。俺は、これから敵軍に突撃する。やがて敵の刀が、矢が、あるいは、あの謎の燃える投擲弾が俺の命を奪うだろう。それまでの束の間で、どれだけの敵兵を切り伏せることができるか。いや雑兵など構うものか。できれば、名のある敵の侍大将に正々堂々の戦いを挑み、見事その首級を挙げたいものだ。境井は華々しい己の最期を想像して身震いした。

境井の跨る愛馬が足踏みをして小さく嘶いた。境井は我に返り、横に並ぶ志村殿に目をむけた。志村殿は境井の叔父であり対馬を守護する地頭である。これから境井たちに突撃の号令を下す総大将でもある。立派な水牛の脇立てをあしらった兜の下で、志村殿は武士らしく感情を少しも見せず、静かに眼下の蒙古軍を見据えている。

境井は、かつて刀の稽古の後で叔父と交わした会話を思い出していた。

「当家の武士は規律を重じてきた。その規律とは何かわかるか」

「主への忠義、己を律すること、そして、誉れ」

「誉れとは」

「一朝事あらば勇猛に戦い境井の家を守る事、です」

「それは、お前の父の言葉であろう。お前にとっての誉れとは何だ」

若き日の境井は困惑した。亡き父の教えには全て答えがあった。それらを記憶し正しく答えれば、それで褒められてきた。だが、この叔父は違った。自分の頭で考えることを要求している。境井は叔父が投げかけた問いを心の中で繰り返した。誉れとは何か。それは己の命よりも大事なもの。俺にとって命より大事なものとは。

「それは」

境井は思い出した。何のことはない、常日頃から心に決めていたことだった。そうか、俺の為すべきこと。それが誉れか。

「民を守ること。おのれを守れぬものらを」

境井は再び海岸に目を向けた。我らを倒した後で、蒙古どもは近隣の村々を蹂躙するだろう。あるものは斬り殺され、別のものは捕らえられて奴婢にされる。そんなことを許すわけにはいかない。しかし、この状況では勝ち目はない。ならば、どうするか。時間を稼ぐことだ。すでに蒙古襲来の急報は各所に飛んでいる。ここで我らが命を投げ打って敵の侵攻を遅らせることができれば、すぐに太宰府から、やがて京都から、いずれは鎌倉から御家人衆が馳せ来て蒙古軍を蹴散らしてくれるだろう。そうすれば島の民は助かる。

境井は覚悟を決めた。俺に華々しい最期など必要ない。命の限り敵と戦うこと、侍の勇猛さを見せつけて敵軍の侵攻を遅らせること。それが、俺にとっての誉れだ。

「安達殿」

志村殿が傍の武士に声をかけた。

「奴らの意気をくじいてまいれ」

安達殿は馬を走らせて丘を降り、敵軍の集まるところへ躍り込んで行った。一騎討ちを申し込むのである。一騎討ちとは古来からの武士の慣しで、両軍の名のある武将同士で一対一で戦うことである。武士にとって最高の名誉の場であるだけでなく、敗れた側は有能な武将を一人失うこととなるため、戦いが始まる前に勝敗を大きく左右する。総力戦で無駄に血を流すことなく決着をつける合理的な手法とも言える。

「遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ。我こそは安達晴信。かの安達義信が五代の末裔なり。腕に覚えのあるものがあらば、我が面前に出でよ」

安達殿が腹に力のこもった大音声を発する。安達家は対馬随一の武門の家である。作法に則った安達殿の名乗りは場を圧倒する迫力に漲っていた。言葉を解さない蒙古の兵さえも後退りするほどであった。すると、言葉を解したのかどうか、一人の偉丈夫が歩み出てきた。顎髭を蓄え立派な鎧を着込んでいる。その鎧には遊牧民らしく毛皮の装飾が施されていた。蒙古軍の侍大将、いや、ひょっとすると総大将なのかもしれない。酒でも呑んでいたのか、大きな椀を右手に持ったままだ。

「いざ、尋常に勝負せよ」

相手に不足なしと見た安達殿が戦いを申し込む。すると、その偉丈夫は右手を揮って椀の中の液体を安達殿に浴びせかけた。敵の無礼な行いに安達殿が言葉を失っていると、次に偉丈夫は傍の男から松明を受け取り、それを安達殿に投げつけた。

「ーーー!!」

安達殿の体が炎に包まれた。椀の中の液体は油だったのだ。

「何!?」

境井たちは憤ったが、遠くからでは見ていることしかできない。偉丈夫は別の男から長刀を受け取り、火を消そうをもがく安達殿に向かって長刀を一閃させた。安達殿の首が宙を飛び、まだ燃え続ける身体は砂浜に倒れ伏した。

「サムライどもよ!」

偉丈夫は、安達殿に負けぬ大音声をあげた。

「我に、降るか!」

やや訛りはあるものの流暢な言葉で、その蒙古の偉丈夫は降伏を迫ってきた。これまで感情を押し殺していた志村殿の顔に微かな怒りの色が滲む。

「誉れなきものに情けは無用。者ども、かかれ!」

志村殿の号令一下、弓兵が火矢を浴びせかけ騎兵が突撃を開始する。俺も愛馬の腹に蹴りを入れて敵陣に向かって丘を駆け下った。敵軍からは火矢とともに、奴ら自慢の投擲弾が発射された。それは地面に着弾するや怖ろしいほどの轟音を挙げ、周囲のものを吹き飛ばした。直撃すれば身体は木っ端微塵となるだろう。俺は必死で愛馬を走らせながら、もはや生きた心地がしなかった。己の身体が己の身体ではないような感覚がする。これは現実の出来事なのか。それとも、夢なのか。あるいは、面妖なカラクリが作り出した幻なのか……。

ふと気づくと、俺の手には手綱ではなくPlayStation 4のコントローラーが握られていた。そうだ、これは最近話題のゲーム『Ghost of Tsushima』だ。俺は境井仁ではなく、コロナ自粛で暇を持て余したおっさんだ。目の前にあるのは、液晶ディスプレイに映し出されたコンピューター・グラフィックスだ。オープニング映像のあまりの出来栄えに、思わず没頭してしまっていた。

我に返った俺は、試しに右スティックを動かしてみた。カメラが動いた。次に、左スティックを動かしてみた。画面の中の境井の愛馬が進路を変えた。もうゲームが始まっている!

俺は慌てた。まだ操作方法が分からない。俺は幼き頃に任天堂ファミリーコンピュータに出会ってから数々のゲームを嗜んできた歴戦の古参ゲーマーである。ゲームを始めるまえに説明書を熟読し、コントローラの操作方法を確認しておくのは基本中の基本だ。しかし、近年のゲームには説明書が付いてこない。その代わりに、ゲームの冒頭に丁寧なチュートリアルが用意されている。そこでゲームの基本操作を学ぶのである。

ところが、この『Ghost of Tsushima』では、オープニング映像に気をとられているうちに、いきなり戦場に放り込まれてしまう。俺には、かつて『ファイナルファンタジー2』のプレイ開始直後に唐突に戦闘が始まって「くろきし」4体にボコボコにされた時の恐怖が蘇った。

境井仁と愛馬は海岸に到達していた。画面に「四角ボタンで刀を振れ」と表示される。無我夢中で刀を振るい、蒙古兵をなぎ倒す。敵軍からは例の投擲弾がアラレのごとく降ってくる。歴史の時間に習った「てつはう」というやつなのだろうが、まるで第一次世界大戦の野戦砲かのように遠方から凄い勢いで撃ち込まれてくる。

「南無釈迦牟尼仏

俺は仏の加護を求めた。浄土宗は阿弥陀様に縋るが、曹洞宗はお釈迦様に頼るらしい。この時代の武士は曹洞宗臨済宗など禅宗を好んでいたから境井仁もお釈迦様に加護を求めたに違いない。仏に願いが届いたのかどうか、境井は敵弾を躱しながら砂浜を疾走した。しかし、ついに一発の砲撃が近くで炸裂し愛馬ごと砂浜に投げ出されてしまった。

境井は無事だったが愛馬は死んでしまった。俺は、『ワンダと巨象』の最後のステージで、俺の身代わりに谷底に落ちていったアグロのことを思いだして悲しくなった。だが、悲しみに暮れている暇はない。境井は立ち上がり、残った侍とともに蒙古の兵に戦いを挑んだ。「R1ボタンで防御しろ」と表示される。俺は、四角ボタンとR1ボタンを駆使して必死で戦った。俺には『ダークソウル』シリーズで培ったアクションスキルと折れない心がある。『SEKIRO』も履修済みだ。だが、このゲームにはロックオンのボタンが無いらしく、戦闘に慣れるには時間がかかりそうだった。

気がつくとその場の蒙古兵は全滅していたが、対馬の侍もほとんどが斃れ、立っているものは境井と志村殿の二人だけだった。志村殿は境井を鼓舞し刀を掲げて走り出した。

「残された道はただ一つ。敵将を見つけ出し討ち取るのみ」

そうだ。命の限り戦って敵軍の侵攻を遅らせる。それが俺の誉れだ。もはや軍勢とも呼べぬ二人きりになってしまった以上、己自身を刀として敵の急所に狙いすました突きを入れる以外に手はない。

「最期までお供いたします」

「よく申した」

仏に願いが通じたか、二人の目の前に、あの蒙古の偉丈夫が現れた。卑劣なやり方で安達殿を殺した男だ。境井と志村殿は雄叫びをあげて躍りかかった。次の瞬間。

目の前で大きな閃光が走ったのを最後に、境井は気を失った。

 

 

令和2年自民党総裁選

安倍首相の辞任表明により自由民主党の総裁選が行われることとなった。党員投票は行わないとのことで派閥の力学で次期首相が決まるらしく、おじさんにとっては懐かしい自民党政治が戻ってきたなという感じがする。

近年の自民党の派閥には疎いのでWikipediaで調べてみたところ、現在は以下の会派が存在するようだ(人数は衆参の議員数)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%94%B1%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%85%9A%E3%81%AE%E6%B4%BE%E9%96%A5

総裁選の日程は来月半ばあたりのようだ。その後の重要な政治日程は次のとおり。

次期首相は遅くともおよそ1年後には総選挙を戦わなければならない。首相は衆議院の解散という伝家の宝刀を抜くことができるため、その前に解散総選挙となる可能性もある。

いまのところ菅義偉首相で10月解散という憶測が飛んでいるが、一寸先は闇が政治の常。今後どうなることか。

 

ストロング料理

この動画を見てみて欲しい。

www.youtube.com 50分以上ある動画なので飛ばし飛ばしで構わない。かいつまむと、コアラ姿のvtuber「でびでび・でびる」がストロングゼロを使った料理を作り、それを食レポするという内容だ。僕はこの動画を見て大笑いした。「ストロング・サーモン」「ストロング玉ねぎ」と言ったワードが面白く、それらを食べて旨い旨いと言うでびでび・でびる氏のクレイジーさに笑いが止まらなかった。

どう考えても、ストロング漬け(お茶漬けのお湯やお茶の代わりにストロングゼロをかける)やストロング玉ねぎ(スライスした玉ねぎをストロングゼロに浸す)が美味しいとは、とても思えなかった。だが、この動画を見終わった後で、ストロング料理に心を動かされてしまっている自分がいることに気付いてしまった。

その理由は二つある。ひとつは、でびでび・でびる氏の食レポがとても上手で独特の表現力を駆使してゲテモノとしか思えないストロング料理の旨さを伝えてくれたこと。もう一つは、パリッコさんというライターが提唱する「酒蒸し法」に僕自身が最近ハマっていたことだ。

dailyportalz.jpこの記事に影響を受けて、いろんな食材を酒蒸しにして食べるのが最近の趣味になっている。肉でも魚でも野菜でも、純米酒で酒蒸しにすればたいてい美味しくなる。冒頭の動画を見て阿呆なことやってるなと一頻り笑った後で、他のものはともかくとして、ストロング・サーモン(鮭の切り身をストロングゼロで酒蒸しにしたもの)は、もしかしたら本当に旨いのかもしれないと思ってしまったのである。

パリッコさんは研究熱心な方で、すでにストロングゼロの酒蒸しも試している。その結論は、残念ながら美味しくないということだった。

dailyportalz.jpしかし、パリッコさんが使ったのは鶏肉だ。鮭では話が違うかもしれない。でびでび・でびる氏によればストロング・サーモンは表面が甘く(たぶんストロングゼロの甘味料のため)、中の方は深い味わいがして一度に食べると「マリアージュ」を感じるという。これは試してみなければならない。

というわけで、さっそく冒頭の動画の料理を再現してみることにした。何事も他人の意見を鵜呑みにせず自分で試してみることが肝心だ。

作るべき料理は次の4つ。

早速スーパーに行って次のものを買ってきた。

茶漬けはサトウのご飯で作ろうと思ったのだが、角煮を作るのに本格的なレシピを参照したところ米の研ぎ汁が必要だと書いてあったため、ストックしていた米(つや姫)を1合分炊くこととなった。

www.sirogohan.comさて、料理の過程をひとつずつ説明しよう。まず、ストロング角煮は上記のサイトを参考にして下茹でし、最後の煮込みのところで「水と酒」の代わりに同分量のストロングゼロを入れて煮込んだ。ただし、豚肉全部をストロング角煮にする勇気はなかったので二切れだけをストロング角煮にし、残りは普通に日本酒でレシピ通りに作った。

ストロング・サーモンは鮭の切り身に塩をふってからフライパンに載せてストロングゼロをふりかけて酒蒸しにした。

ストロング玉ねぎはスライスした玉ねぎを、通常は水に晒すところを、ストロングゼロに晒した。

ストロング漬けは、炊き上がったご飯に梅干し茶漬けの素とストロングゼロを振りかけた。

さて、そのお味は如何かと言えば。

ストロング角煮は普通に旨い。通常のレシピで作ったものと食べ比べてみたのだが、ストロング角煮の方が若干味が薄かった。ただ、これは僕が醤油や砂糖の分量を間違えただけかもしれない。味が薄いとは言え好みの範疇であり、どちらが明確に旨いというものでもなかったし、逆に言えばストロングゼロを使った意味もとくになかった。煮込んだ段階でレモンの風味もアルコールも飛ぶし、砂糖で甘くしてしまうので人工甘味料の甘さも紛れてしまったようだ。

次は、ストロング・サーモン。一番期待していたのだが、残念ながらあまり美味しくなかった。別に不味いという訳ではなく普通に食べられるのだが、純米酒での酒蒸しに比べるとパサついてイマイチだった。パリッコさんの鶏肉の実験でも同様の結果が報告されている。どうも、酒蒸しでしっとりと仕上げるのには米の酒が向いているようだ。でびでび・でびる氏の言う「表面と中身のマリアージュ」も感じられなかった。調理法や分量が違ったのかもしれない。ちなみに、でびでび・でびる氏は皮が美味しくないと言っていたが、僕の作ったストロング・サーモンは皮も普通に食べられた(魚の皮は好き嫌いが分かれるので客観的な評価は難しいのだが)。

さて、お次はストロング玉ねぎだ。一番期待していなかったのだが、結果的に一番美味しかった。これは美味しい。玉ねぎの辛味とレモンの風味と甘味料の甘さ、それに加えてアルコール感が混じり合うと、今まで食べたことのない不思議な食感を味わうことができる。アルコールと生の玉ねぎが大丈夫な人でないと食べられないと思うが、好きな人にはハマると思う。今回の中で、唯一もう一度作ってみようと思えたレシピだった。

ストロング玉ねぎが成功だったので他の野菜でも試してみた。ピーマン、人参、キャベツを千切りにしてストロングゼロに浸けてみた。結果、一番美味しかったのは人参だった。人参と玉ねぎはストロングゼロで浅漬けにすると美味しい。ピーマンは不味くはないが美味しくもならない。一番ダメなのはキャベツだった。キャベツの風味とアルコール感は良い取り合わせではなかった。

さて、最後のストロング漬けだが、これは一番の失敗だった。炊きたての温かいご飯を使ったのがまずかったのかもしれない。アルコールと甘味料のせいか得も言われぬエグ味にむせかえって食べられたものではなかった。食べ物を無駄にはできぬと、しばらく放置して冷ました後でなんとか完食したが、もう食べたいとは思わなかった。でびでび・でびる氏は「不思議な感覚がする」と喜んで食べていたが、よほどアルコール耐性のある酒呑みでなければこの境地には達することはできないと思われる。僕も人並みよりは酒好きな方ではあるが、これは食べられなかった。

というわけで、個人的な感想として、アリと思えたのはストロング玉ねぎとストロング人参だった。食卓の中でアルコールを感じられる副菜という、奈良漬けに匹敵する新戦力になりうると思われた。ストロング角煮とストロング・サーモンに関しては、別に不味くはないのだが、通常のレシピや酒蒸しに比べて利点があるようには感じられなかった。ストロング漬けは、繰り返すが個人的感想として、ナシだった。

一番期待していたストロング・サーモンが美味しくなかったことは残念だった。でびでび・でびる氏の言う「マリアージュ」も感じられなかったので、調理法を工夫する必要があるのかもしれない。今回は鮭をふっくらと仕上げるため酒蒸しを短時間で止めてしまったが、もしかしたら甘味料が表面にまとわりつくように煮詰めた方がよかったのかもしれない。今後の課題としたいところだが、僕はもう二度とやるつもりもない。誰かストロング・サーモンの「マリアージュ」を再現できた人がいたらレシピを教えて欲しい。

現場からは以上です。